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【プロが解説】製品開発で失敗しないプラスチック材質の選び方|代表的な樹脂と環境配慮型新素材

その材質選定、「なんとなく」で決めていませんか?

製品開発において、プラスチック材質の選定はプロジェクトの成否を分ける重要な要素です。「軽量で安価だから」と安易に選んだ結果、強度不足で製品が破損したり、想定外の環境で変形・劣化したりといったトラブルは後を絶ちません。

材質選定の失敗は、リコールやブランドイメージの低下、開発コストの増大に直結します。

この記事では、プラスチック成形のプロフェッショナルであるMitasが、製品開発で失敗しないための「材質選定の基本」、用途に応じた「代表的な樹脂」、そして未来のものづくりに欠かせない「高機能&環境配慮型素材」まで、網羅的に解説します。

1. まずはココから!プラスチック材質選びの5つの基本ポイント

最適な材質を選ぶには、製品に求められる要件を多角的に評価する必要があります。最低限、以下の5つのポイントを確認しましょう。

  1. 機械的特性:衝撃に耐えるか?(強度・剛性・耐衝撃性)
  2. 物理的特性:熱や寒さに強いか?(耐熱性・耐寒性・寸法安定性)
  3. 化学的特性:薬品や紫外線に耐えるか?(耐薬品性・耐候性)
  4. 成形加工性:理想の形や外観にできるか?(成形性・二次加工性)
  5. 環境・コスト:予算に合うか?環境に配慮しているか?(材料費・リサイクル性・調達安定性)

これらの要件に優先順位をつけ、バランスの取れた材質を選ぶことが成功の鍵です。

2. 【一覧】押さえておくべき代表的なプラスチックの種類と特徴

まずは市場で広く使われている代表的なプラスチックを理解しましょう。

■汎用プラスチック(安価で加工しやすく、幅広い用途で活躍)

材質名(略語)主な特徴用途例
ポリプロピレン (PP)軽量、耐薬品性、ヒンジ特性に優れる。コストパフォーマンスが高い。自動車部品、家電、食品容器、日用品ケース
ポリエチレン (PE)安価で柔軟。耐薬品性と電気絶縁性が良い。ポリ袋、各種容器、フィルム、ガス管
PET透明度、強度、ガスバリア性に優れる。リサイクルが確立。飲料ボトル、食品トレイ、フィルム
ABS樹脂剛性、耐衝撃性、加工性のバランスが良い。美しい光沢が出せる。家電筐体、OA機器、雑貨、自動車内装

■エンジニアリングプラスチック(汎用プラより優れた機械的強度・耐熱性を持つ)

材質名(略語)主な特徴用途例
ポリカーボネート (PC)非常に高い耐衝撃性と透明性、自己消火性を持つ。スマートフォン筐体、ヘルメット、航空機の窓
ポリアミド (PA)「ナイロン」として有名。耐摩耗性、靱性、耐熱性に優れる。自動車エンジン部品、歯車、コネクタ
PC/ABSアロイPCの耐衝撃性とABSの成形加工性を両立したバランスの良い素材。家電筐体、自動車内装部品

3. 【注目】Mitasが推奨する高機能&環境配慮型プラスチック

これからの製品開発では、付加価値と環境配慮の両立が求められます。Mitasが特に推奨する、注目の素材をご紹介します。

① トライタン™(Tritan™)|安全性とデザイン性を両立

ガラスのような透明度と、ポリカーボネートに匹敵する強靭さを両立した革新的なコポリエステル樹脂です。

  • 特徴:BPAフリーで人体に安全、優れた耐衝撃性・耐薬品性、食洗機対応。
  • おすすめ用途:哺乳瓶・ウォーターボトル等の食品容器、医療機器部品、高級家電の透明パーツ。

② バイオマスプラスチック|植物由来でCO2を削減

サトウキビやトウモロコシなど、再生可能な植物資源を原料とするプラスチックの総称です。

  • 特徴:原料育成から廃棄までのCO2排出量を抑制(カーボンニュートラル)。従来の石油由来品と同等の物性を持つグレードも多い。
  • おすすめ用途:「GreenChip(グリーンチップ)」に代表されるバイオマスPEフィルム、化粧品容器、環境配慮を謳う製品の筐体。

③ ポリ乳酸(PLA)|微生物が分解する環境配慮型素材

トウモロコシ由来のデンプンなどを原料とし、特定の条件下で微生物によって水と二酸化炭素に分解される「生分解性プラスチック」の代表格です。

  • 特徴:高い透明性を持つが、耐熱性は低い(約60℃)。
  • 注意点:分解には適切な温度・湿度・微生物が必要なため、リサイクルや廃棄方法の検討が不可欠。
  • おすすめ用途:使い捨て食品容器、農業用フィルム、3Dプリンターのフィラメント。

4. まとめ:最適な材質選びが、ものづくりの未来を創る

プラスチック材質の世界は、日々進化しています。製品に求める性能、コスト、デザイン、そして環境への配慮。これら全ての要素を考慮して最適な材質を選び抜くことは、簡単ではありません。

Mitasは、試作品から量産まで一貫して手掛けるプラスチック成形のプロフェッショナルとして、お客様のあらゆる課題に寄り添います。

  • 「この用途なら、どの材質が最適だろう?」
  • 「環境配慮型素材を使ってみたいが、コストや性能が不安…」
  • 「既存製品の材質を見直して、コストダウンや性能向上を図りたい」

私たちは、豊富な知見と幅広い材質の取り扱い実績を基に、貴社の製品価値を最大化する最適なソリューションをご提案します。

図面一枚からでも構いません。まずはお気軽にご相談ください。

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